草汁漫画 秋の部   冬の部   雑の部

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『草汁漫画』(日高有倫堂 明治41年6月)は、芋銭の最初の著書である。この時期、芋銭は盛んに新聞雑誌等に挿絵を描いていた。描いていたといっても、芋銭の肉筆がそのまま掲載されたのではなく、肉筆は所詮木版の版下絵でしかなかった。『草汁漫画』を製作するにあたり、芋銭は、それまでに発表した作品の版木を集める必要があったが、思うようには集まらなかったようだ。結果として掲載作品は、『いはらき』新聞に発表したものが主となった。それでもまだ不足が生じ、新たに版下絵を描き足す必要にも迫られた。一方、初期社会主義に掲載した作品も掲載の対象とはしたが、これも版木の借用が叶わず同じような構図の作品を書き直したが、原作特有の痛烈な社会批判の度合いも随分希薄になっている。この辺りに、芋銭の心の変化や社会情勢が見て取ることもできる。掲載された作品の多くは、一見何気ないものであっても豊かな学殖が見え隠れし、興味は尽きない。全体的に見れば、蕪村の影響が極めて濃厚である。忘れてはならないのは、友人、小杉未醒(放庵)、杉田雨人の多大な尽力があってこそ『草汁漫画』は世に出るところとなった。

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