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近刊案内『芋銭の言葉』

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今年は、芋銭生誕150年・没後80年にあたる。芋銭のお膝元においては、それを祝した記念事業が展開されるものと期待していたが、何らのこともなく、残すところ10日余でその記念の年も暮れようとしている。
そのような中で、茨城県取手市において、「文化工房ふじしろ」が主軸となり、市内の二つの会場にて「取手と芋銭展」が開催されたことや、『小川芋銭西山泊雲来往書簡集』の刊行は誠に喜ばしい。
この度の『芋銭の言葉』刊行は、その締めくくりというべきものである。
編著者は前書きに、「芋銭の「言葉」の一端を切り取って、より正確で鮮明な「芋銭の生涯とその芸術」を編纂したいと思います。ただ、直接芋銭の言葉でなくても、事柄の前後から見えてくるものから、それにふさわしいと思われる芋銭以外の人たちの「言葉」も取り入れることにしました。本編ではその性格上、芋銭に対する過度な崇拝や賛美の言葉など余分な意図を差し入れず、又、風説や伝聞といったものを極力避けるなど、ありのままの「芋銭」を表すことに努めて行くことにします」と記している。
編著者は、かつて牛久市で行われていた「小川芋銭検定」の最難関「特別級」(美術館の学芸員ですら手を焼く)に合格した僅か3人のうちの1人である。この難関を越えるため、多くの芋銭関連文献を読破されたことと思う。同時にそれぞれの文献によって芋銭の評価に差異があることにも気づかれたことだろう。
私もまた芋銭に興味を持ち始めた頃、芋銭伝中に「俗中の仙人」等と、拠りどころを示さずに評されるものに惑わされた記憶がある。
今回の書籍は、それらをリセットして、芋銭の言葉によって生涯を語ろうとするものである。同時に、芋銭に対する編著者の熱い情熱も伝わってくる。私もこの趣旨には賛同させていただきたい。ただ惜しむらくは、出版部数が少ないことである。おそらく、早々になくなってしまうのではないだろうか。
最後に、出版情報を記しておきたい。
芋銭の言葉ー小川芋銭の生涯とその芸術ー
編 著 香取勝義(かとり・かつよし)
TEL 029-873-3194
発 行 百年書房
東京都墨田区緑1-3-12 山崎ビル201
TEL 03-6666-9594 http://100shobo.com
発行年 2018年11月22日
頒 価 2,500円
編著者に問い合わせたところ、2019年3月22日現在で、残部数は僅か10部だそうです。
芋銭関連文献は、無くなると入手が困難になる傾向にあるようです。
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