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草汁漫画 秋の部 冬の部 雑の部
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『草汁漫画』(日高有倫堂 明治41年6月)は、芋銭の最初の著書である。この時期、芋銭は盛んに新聞雑誌等に挿絵を描いていた。描いていたといっても、芋銭の肉筆がそのまま掲載されたのではなく、肉筆は所詮木版の版下絵でしかなかった。『草汁漫画』を製作するにあたり、芋銭は、それまでに発表した作品の版木を集める必要があったが、思うようには集まらなかったようだ。結果として掲載作品は、『いはらき』新聞に発表したものが主となった。それでもまだ不足が生じ、新たに版下絵を描き足す必要にも迫られた。一方、初期社会主義に掲載した作品も掲載の対象とはしたが、これも版木の借用が叶わず同じような構図の作品を書き直したが、原作特有の痛烈な社会批判の度合いも随分希薄になっている。この辺りに、芋銭の心の変化や社会情勢が見て取ることもできる。掲載された作品の多くは、一見何気ないものであっても豊かな学殖が見え隠れし、興味は尽きない。全体的に見れば、蕪村の影響が極めて濃厚である。忘れてはならないのは、友人、小杉未醒(放庵)、杉田雨人の多大な尽力があってこそ『草汁漫画』は世に出るところとなった。
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『草汁漫画』秋の部
中扉「秋の部」
望の月
画賛:芋の葉(絵文字)に月の雨きく二更哉 題「望の月」とは満月のこと。
トロイ合戰
文:小川芋銭
トロイ合戰
画賛:あかき名はちりてもたかし いも之助
小春の午後
文:小川芋銭
柿の秋 虫に鳥にも
上図画賛:秌(秋)旼(空) いはらき新聞 明治40年11月13日掲載 下図画賛:此世にしたぬしくあらは来ん世ニハ虫に鳥にもわれハなりなん(万葉集:大伴旅人の歌)
了得 爐邊
次頁の2図の説明文
閑爐 白馬非馬
上図画賛:秋時雨 下図画賛:白馬非馬(典拠『列子』仲尼第四第十三章) いはらき新聞 明治38年12月17日掲載
俳句(立田姫 畫賛)
次頁「立田姫」の画賛句
立田姫(仮題)
画賛:秋まだ早き立田姫か様子 秋蘋兄遠く那須野より送らるゝところ 芋生 「秋蘋兄」は、いはらき新聞の主筆などを務めた「佐藤秋蘋」。「立田姫」は、「秋の女神」。
お竹如来
画賛:メシツブ 典拠:滝沢馬琴「免園小説」等々、歌舞伎、浮世絵等にも取り上げられる。 「佐久間家の下女お竹は、生来慈悲深く、その徳行により、死後「大日如来」になったといわれる。」 いはらき新聞 明治40年1月25日掲載
山守 鬼
右図画賛:明浄 典拠:謡曲「紅葉狩」 いはらき新聞 明治38年11月23日掲載 左図画賛:山守
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